WISC-V(児童向けウェクスラー式知能検査)を受けました

自閉症スペクトラム(ASD)

WISC-V検査を受けてみたところ、息子氏の特性や意外な才能を見出すことができました。中学校や高校で実施されるいわゆる学力検査とは性質が異なりますが、子どもの得意なことや苦手なことを把握し、家庭内での支援や療育に役立つ情報を得ることの重要性を感じました。

新版K式からWISC-Vへ

今夏、新版K式発達検査2020からWISC-Vへ切り替え、改めて知能検査を受けました。医師が当初懸念していたのは、WISC-Vが視覚的な質問から言語的な質問(より現実社会での生活に即した内容)に変わるため、検査が成立しない可能性があるという点でした。つまり、検査指示が理解できず、検査を続行することが難しいかもしれないということです。その場合は、再度新版K式に戻して検査を行う予定でした。

検査当日、息子氏の調子は上々で、機嫌も良かったのですが、検査は彼にとって難しかったようです。検査後の簡易フィードバック(正式なものではなく、検査直後の検査官の印象)では、彼が理解できているかどうかの反応が薄いため判断が難しいこと、また、聞き取りながらそれに答える部分では厳しい数値が出るかもしれないと言われました。

WISC-V検査結果

検査から1ヶ月ほど経って、検査結果を受け取りに行きました。事前に簡易フィードバックがあったため、「かなりひどい数字が出るのでは?」と当日は緊張しながら臨んでいました。では、各数値を見てみましょう。

  • 言語理解 (VCI): 76
  • 視空間 (VSI): 125
  • 流動性推理 (FRI): 124
  • ワーキングメモリ (WMI): 69
  • 処理速度 (PSI): 97
  • 非言語性能力 (NVI): 115
  • 一般知的能力 (GAI): 105
  • 認知熟達度 (CPI): 79

皆さんはどのような印象を受けたでしょうか?私は、思っていたほど悪くなかったと感じました。まず、言語理解が低いのは予想通りで、実際に日常生活でもこの部分で苦労していること、また、通院のきっかけもこの言語に関する問題であったため、実感と一致している内容でした。

一方で、息子氏は以前からドット絵や立体パズル、間違い探しが好きだったので、視覚情報には強いのではと思っていました。その予想通り、視空間(VSI)や流動性推理(FRI)の数値が高く、視覚的な情報を整理し、そこから何かを得ることが得意であることに気づきました。パターンを見つけ出し、そのルールに基づいて処理するのは得意だと思っていましたが、予想よりも高い数値が出たことには驚きました。

この傾向をグラフにプロットしてみると以下のようになります。

面白がってはいけないのですが、右と左の両極端にここまできれいに分布するものだなと思いました。VSIが125でWMIが69ですので、その差は56もあります。これは200点満点のテストではなく、偏差(ばらつき)によるものですので、非常にアンバランスです。

検査の総評には、以下のような記述がありました。

全般的な知的水準は平均であるが、指標による差が非常に大きく、結果の解釈には注意を要する。【視空間】【流動性推理】といつた視覚課題は非常に高い水準にあるが、【言語理解】や【ワーキングメモリー】は非常に、もしくは極めて低い水準であり、能力はアンバランスである。

たった3行なのに、各行に”非常”という語句が毎行出てきます(笑)

悩ましい次の一手

アンバランスなスキルセットの場合、支援方法は大きく3つあるかと思います。1つは、強みをさらに伸ばす方法(長所活用型)、もう1つは短所を改善しながら全体の底上げを図る方法(短所改善型)、そしてもう1つが、その中間を取る折衷型です。

息子氏は最近、算数が楽しいと言います。理由を聞いてみると、「答えが必ず1つだから」とのこと。おそらくですが、表現の単純さも関係しているのではないかと思います。例えば、加算を言葉で表現すると、「足す」「加える」「増える」「加算する」「追加する」など多様な言い方がありますが、数式では「+」と一つの記号しか使いません。言語コミュニケーションにコストがかかる息子氏にとって、こうした単純明快さが魅力なのだと思います。

現在、タブレットが普及し、さまざまなアプリがリリースされています。タブレットを無制限に子どもに使わせることは感心できませんが、親がコントロールした状態で楽しませながら使うのであれば、長所活用型の家庭内療育として非常に有効だと考えます。

息子氏が毎日楽しんでいるゲームは「Crossmath – Math Puzzle」です。このゲームはルールがシンプルで、必ず左側に2つの要素、右側に1つの要素が配置されます。2つの要素が確定している場合、単なる計算に過ぎませんが、縦横の要素を満たしながら解いていく過程が楽しいようです。

現在、小学1年生の2学期では、1桁の足し算と引き算を学んでいます。しかし、息子氏は2桁までの繰り上がり・繰り下がりを伴う加算・減算、さらには1桁の掛け算(例 24×2)や割り算(例 50÷2)もこなせるようです。どうも、息子氏は数字の並び(3、6、9、12、15…)を頭の中で表として持っているようで、九九表をすべて覚えていなくても、回帰的に計算して答えを導き出しているようです(彼の独り言から推測すると)。この部分は、今後もさまざまなアプリや方法を使って伸ばしていこうと思っています。

一方、言語面のスキルは、生きていく上で必須です。たとえ高いスキルを持っていても、言語のインプットとアウトプットに障害があると、それが大きな壁になってしまいます。もちろん、短所の改善は苦痛を伴いますが、避けられない課題でもあります。どのようにこの言語スキルを改善していくのかが、私たち家族の大きな悩みです。

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