表出性言語障害がわかるまで

自閉症スペクトラム(ASD)

発達障害の診断(わが家の場合は表出性言語障害)は、認識されるまでに一定のプロセスを経ることが一般的だと思います。初めてその違和感に気づいたときから、詳細な調査、最終的な診断が下されるまでの過程を私自身も経験しました。この記事では、その経過や私が考え、行動したことについて書いていきます。

言葉数の少ない子

標準的な発達レベルの子であれば、1歳までに喃語(なんご)が出始めた後、簡単な発音や言葉を話し始めます。下の子がまさにこのパターンでした。2歳になる前には、「はい/いいえ」に加えて、「何が欲しい」「何がしたい」などと自己表現ができるようになりました。

一方、上の子は2歳を過ぎても具体的な言葉をあまり話さなかったのです。もちろん、下の子と同じように彼にも「欲しいもの」「やりたいこと」がありましたが、それらは大部分ジェスチャーによる表現に頼っていました。例えば、何か欲しい時には自分で取ろうとしたり、難しい場合は親の袖を引っ張って示すようにしていました。当時、私たちは「子どもの発達には個人差がある」と考え、見守ることを選んでいました。

もっとも、口数、言葉数の少ない子だなとは思いましたが…。

3歳児健診でアドバイス

はじめて外部から指摘を受けたのが、3歳児健診です。1歳半健診までは、子どもの語彙数が少なくても個人差の範囲と見られてあまり言われません。しかし、3歳児健診を受ける時点では、一般的には子どもの語彙が大幅に増えているはずなので、そこで語彙のチェックが入るのです。保健師による問診を通じて、コミュニケーションが適切に成立しているか、発音が明瞭か、吃音などの症状が見られないかなどが確認されます。わが家の場合、この段階で少し疑問が生じました。

もちろん、語彙が少ないというだけで発達障害とは言えません。しかし、専門家に一度チェックしてもらうのはどうでしょうか?とのアドバイスを健診医から受けました。

ちょうどその時期に、幼稚園が始まったのです。私の周囲には、「友達ができると子どもの言葉が急速に増えた」という例をいくつか聞いていました。親とのやり取りではパターンが限られていても、子ども同士だと様々なことを遊びの中で学び、その過程で必要な語彙を獲得していくのではないかと考えました。そこで、引き続き様子を見守ることにしました。

高い集団生活能力

幼稚園に入学してから半年ほど経過した頃、健診医から受けたアドバイスを思い出し、一応、かかりつけの小児科医に見てもらうことにしました。診察の際に、医師から学校での様子を尋ねられました。

当時通っていた幼稚園は比較的少人数制のところで、担任教師からも親身に見ていただけていました。学校生活について医師から問われたため、具体的な様子を書面で学校から頂きました。その時の記述内容は以下の通りでした。

<息子氏の名前>は、先生の指示を聞き、ちゃんと指示通りに動くことが出来ます。質問をした際は顔を振ることで返事をし、言葉で返すことはまだ成長段階です。『あー』と言って返事をすることがあります。

お友達とも喧嘩をしたことがなく、集中して作業が出来ます。スクールのルールや時間割に合わせて動くことができ、理解力、応用力もあります。一人で洋服を着替えることもでき、園生活に何の支障もありません。ただ、言葉でのコミュニケーションはまだ難しいです。

当時の担当教師からの文面

言葉を発するのは難しくても、集団生活への適応能力が高いことが伺えます。そのため、ある種安心をしていました。

担当教師から指摘からの発達検査

4歳近くになっても発語がほとんどなく、これは少し異常だと感じ始めたのがこの頃でした。当時、息子が話していた言葉を思い出すために、過去のビデオを見直したのですが、驚くほど彼は話していませんでした。歓喜の声はあるものの、意味を持つ単語を話すことはほとんどなかったと思います。

この時期の担任教師と話す機会が多く、他の子と比較することは意味がないという前提のもとで、それでも言葉の少なさ、言葉を使う意欲の低さについて懸念があると指摘を受けました。幼稚園に入学して1年が過ぎようとしていた時期で、遅ればせながら、専門的な診療を受けるために外来を訪れました。

外来に行くと、まずはヒアリングを受けた後、別の日にK式発達検査を行うことになりました。さらに別の日には、PARS-TR検査およびS-M社会生活能力検査も行うことになりました。

K式発達検査の結果と診断

K式発達検査では、以下のような数値でした。

  • 姿勢・運動領域 82
  • 認知・適応領域 111
  • 言語・社会領域 78

言語と社会的な領域では、検査時点で3歳9ヶ月の息子の発達年齢(DA)は2歳11ヶ月でした。あまり話さない彼ですが、認知と適応の領域では予想以上に強く、本当にそんなに問題があるのか?と疑問を感じていました。

しかし、臨床心理士、言語聴覚士、精神科医からは、発達の遅れが確認できるので、療育などの対策を真剣に考えるようにと助言されました。それでも、トレーニングを行えばすぐに遅れを取り戻せるだろうと、当時は思っていました…。

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