2025年度も、気づけばあっという間に1ヶ月が過ぎました。息子氏の学級担任の先生と支援学級の担当の先生がどちらも変わったこともあり、この1ヶ月は学校とのやり取りが立て続けに発生しました。
このような状況の中で改めて感じたのは、知能検査の数値そのものよりも、結果から読み取れる「認知のばらつき(=発達の凸凹)」をどう理解し、教員が現場で具体的にどう支援に活かせるかが極めて重要だということです。
息子氏の“凸凹プロファイル”と支援の調整
WISC-V(Wechsler Intelligence Scale for Children – Fifth Edition)は、子どもの認知能力を5つの指標に分けて測定する知能検査です。具体的には以下の指標が含まれます:
- 言語理解(VCI):言葉の意味や概念の理解
- 視空間(VSI):視覚的な空間認識や構成能力
- 流動性推理(FRI):新しい問題に対する推論力
- ワーキングメモリ(WMI):聞いた情報を一時的に保持・操作する力
- 処理速度(PSI):視覚情報を素早く処理する能力
息子氏の場合、視空間や推理力は高い一方で、言語理解とワーキングメモリが著しく低いという、いわゆる「認知の凸凹(プロファイルのアンバランス)」が顕著に見られます。
この特性については昨年度から学校側と共有しており、支援学級での対応も調整してきました。今年は担当の先生が変わったこともあり、これまでの経緯や息子氏の特性、必要な支援について改めてまとめ、読み物形式の資料を作成して先生方に提出しました。
その中では、以下のような支援の工夫について提案しました:
- 視覚優位の特性を活かし、スケジュールや課題は文字や絵で「見える化」する
- ワーキングメモリの弱さを考慮し、口頭の指示は短く・一つずつ・明確に伝える
- ルールや手順は事前に明示し、反復して確認できる環境をつくる
こうした提案は、息子氏の「困りごと」を未然に防ぐと同時に、得意な認知スタイルを活かすアプローチでもあります。
娘氏の場合:言語発達遅滞と“伝える力”の支援
一方で、娘氏もこの春から支援学級に進学しました。息子氏と違って、娘氏には自閉スペクトラム症(ASD)の診断はなく、主な課題は言語発達遅滞にあります。言語理解や語彙の獲得、文法的な表現などに課題がありながらも、視覚情報や繰り返し学習を通じて確実に定着させる力を持っているのが特徴です。
療育での学習記録からも、次のような成長の様子が見られています:
- 「シナモンロール」や「マイメロ」など、身近なキャラクターを題材にしたひらがな学習を通じて、文字への興味が芽生えてきた
- 「鉄棒で遊んだ」「門松を折り紙で作った」「好きなお菓子」など、身近な体験を通じて語彙を広げる力が育ってきている
娘氏の場合、表現力の発達にはまだ課題がありますが、自分の経験を語ろうとする意欲が強く、会話の中で語彙を引き出すことができます。そのため、学校への支援要望は、息子氏のように構造化や視覚支援に重点を置くよりも、「安心できる人間関係」と「対話的なやりとり」を大切にしてほしいという点を重視しています。
検査はスタート地点にすぎない
「WISC-VやK式検査(※新版K式発達検査)の結果が凸凹だから、こうすればよい」という単純な話ではありません。重要なのは、その結果をもとに「どんな伝え方が合うのか」「どんな場面で力を発揮しやすいのか」を理解し、個別最適な支援を考えていくことです。
検査結果は単なる「数値データ」ではなく、子どもが持つ力と困難さを理解するためのヒントです。その背後には、「なぜうまくいかないのか」「どうすればスムーズにできるのか」といった、子ども本人の“生きづらさ”と“可能性が隠れています。
学校と家庭がその情報を共有し、丁寧に対話を重ねながら、支援の質を高めていく。そんな当たり前の積み重ねこそが、子どもたちの「できた!」につながると信じています。2025年度も、粘り強く取り組んでいきたいと思います。
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